7月の月例報告。

【7月の報告】
①6月からの継続支援人数  15名
②新規相談受理人数      3名
③7月に終結した人数     4名
④8月への継続支援人数   14名
⑤ご寄付の件数        7件 

毎月コンスタントに新しいご相談者さんがお越しになり、相談員が1件1件お話をお聴きし、ケースワークを実施しています。
ケースワークといえば、事務長である僕がアウェアの加害者更生プログラムのファシリテーター(実施者)養成講座をオンラインで受講していることは前回の記事でお伝えしたとおりですが、基礎講座の前期後期を終え、7月に受講したのが「被害者支援プログラム実施者養成講座(前期)」でした。
正直、受講するまでは「被害者支援プログラムって何するんやろ?」と思ってたんですよね。
今日はそんな僕が考えた「被害者支援とは」について書いていきたいと思います。
長くなるので、お時間のあるときにでもお読みいただけると嬉しいです。

DV被害者支援については、市役所での相談員時代から支援現場に持ち込まれるさまざまな事例に直面し、毎朝相談員間でおこなわれるケース会議で学んできていたので、そもそもそれをプログラム化することなんてできるのかな?という思いがありました。
相談者さんが100人いれば、支援の方法も100通りあって、まったく同じケースは二つとないからです。
実際にアウェアの被害者プログラム実施者養成講座を受講した結果、そのプログラムの特徴を要約すると、
①加害者プログラムを基に作成されたものであること
②基礎的な知識をはじめ、ジェンダーやケーススタディを通じてDVを体系的に学ぶこと
ということでした。
アウェアの加害者更生プログラムは被害者支援の手段の一つとして実施されており、プログラム参加男性のパートナー(被害女性)とも面談をおこなうそうです。
被害者のなかには、加害者の暴力の原因は自分にあると思っていたり(加害者に思い込まされていたり)、子どものために離婚できないと諦めていたり、加害者への恐怖心によって本来持っているチカラを奪われていたり、被害者自身のなかにもジェンダーのしばりがあったりします。
そのような被害者に対して、DV被害から逃れるにはどうすれば良いか、二度と被害に遭わないためには何ができるのか、子ども達が同じ目に遭わないようにするにはどうすれば良いかなど、加害者だけでなく被害者にも知ってほしい知識や情報を集約し、プログラムとして構築されたものが「被害者支援プログラム」として使われています。

受講して思ったことは、僕が今まで思ってきた被害者支援とはまた違ったアプローチの、これも一つの被害者支援であるということ。
そして、これに名前をつけるとしたら「エンパワメント」じゃないかな、ということです。相談員としては「エンパワメントスキル」といえるかもしれません。DV被害者支援をする者としては当然知っておかなくてはならない内容ですし、相談員が受ける研修などでもメインで取り上げられるテーマです。
では、エンパワメントができればそれでいいのかというと、答えは「NO」です。
被害者支援としては、エンパワメントだけでは足りないことも多くあります。そこで必要となってくるのが「ケースワーク」です。
僕の頭の中では、この「ケースワーク」こそが被害者支援だと思ってたんですよね。
だけど今回アウェアの講座を受講して感じたことは、「エンパワメント」と「ケースワーク」は自転車でいうと前輪と後輪のようなものだということです。「エンパワメント」は被害者自身がペダルを漕いで動く後輪、「ケースワーク」は後輪から伝わる原動力によって動き、進むべき方向を選択する前輪。相談員がすべきことは、ペダルの漕ぎ方を教えてあげること(エンパワメント)と、進んでいく方向やハンドルの切り方を示すこと(ケースワーク)。ちなみにイメージとしては相談員は隣で同じように自転車に乗って、ペダルはここだよ、ハンドル切ってこっちに進むとこうなるし、あっちだとこんな道が待ってるよと伝えます(これぞ『伴走型支援』!)。
だから、ペダルの場所を知っていて、自分で漕げるチカラを持っている人にはその後のケースワークが必要だし、チカラを奪われてペダルの場所も漕ぎ方もわからない人にはエンパワメントが必要。相談員としてそこが理解できていないと、頑張ってペダル漕いでる人にエンパワメントメニューばっかり伝えても意味ないし、エンパワーできていない人のペダルを代わりに漕いであげて目的地に到着しても、気づいたらまた被害に遭ってたりする。

本来「エンパワメント」と「ケースワーク」は、被害に遭っている相談者に応じて使い分けないといけないものなのです。
しかし、それができない相談員(支援者)も多くいるのが現実。特にケースワークができない人が多い。
相談者さんにとってどういったケースワークが必要かコーディネイトするスキル、これは研修や机上の勉強ではなかなか身につくものではありません。
もし、今どこかの支援団体や支援者に支援を受けているけど、なかなか話が進まなかったり、自分のイメージとの違和感を抱いている方がいらっしゃったら、それは相談員のスキルの問題かもしれません。
心当たりの方は、ぜひ「白鳥の森」にご相談ください。
あなたの望みを100%叶えることはできないかもしれませんが、自分たちにできることは100%全力でやる、そんな相談員がお待ちしています。

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